JR上場4社「3年ぶり黒字転換」でも全く楽観できない理由Photo:PIXTA

コロナ禍の収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安急進が企業を揺さぶっている。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、7~9月度の鉄道(JR)編だ。

JR主要4社は
前年同期比で大幅に回復

 鉄道(JR)の主要4社が発表した7〜9月度の月次業績データは、以下の結果となった。

◯JR東日本の鉄道営業収入
 7月度:前年同月比132.0%(32.0%増)
 8月度:同149.0%(49.0%増)
 9月度:同142.2%(42.2%増)

◯JR東海の新幹線の利用状況
 7月度:前年同月比161.0%(61.0%増)
 8月度:同200.0%(100.0%増)
 9月度:同208.0%(108.0%増)

◯JR西日本の運輸取扱収入
 7月度:前年同月比133.7%(33.7%増)
 8月度:同161.2%(61.2%増)
 9月度:同156.1%(56.1%増)

◯JR九州の運輸取扱収入
 7月度:前年同月比123.3%(23.3%増)
 8月度:同169.3%(69.3%増)
 9月度:同153.6%(53.6%増)

 7~9月において、JR主要4社の業績は前年実績を大きく上回り、軒並み2桁増、JR東海に至っては3桁増を達成している。

 また、22年4~9月期には3年ぶりにJR4社がそろって最終黒字に転換できたという朗報もあった。

 ただ、これらを踏まえてJR4社が新型コロナウイルス禍から復活を遂げたと判断するのは早計といえる。鉄道はコロナ禍で大打撃を受けた業界であるだけに、コロナ前の水準と比べた回復具合を確認する必要があるからだ。

 そこでコロナ前の数字と比較してみると、いまだ厳しい状況に置かれている事実が明白になった。次のページからは、JR主要4社の真の回復度合いについて詳しく分析していこう。すると「前年同期比200%」といった数字とはかなり違う印象の実態が見えてきた。