ガスト、バーミヤンの猫型ロボットも!日本人が知らない中国製ロボットの驚異ガストに導入された配膳ロボット。通称ベラちゃん(著者撮影)

最近になって、日本のレストランチェーンなどで配膳ロボットが目に付くようになった。それらは主に“メード・イン・チャイナ”のロボットだ。中国では2022年の北京冬季五輪を前後して市井に入り込むようになったサービスロボットが、日本にもジワジワと裾野を広げているのだ。サービスロボットの最新事情とその影響を追った。(ジャーナリスト 姫田小夏)

猫型ロボットにキュンキュンするお客さん

「ご注文ありがとうニャン。お食事楽しんでください」――トレーを乗せた猫型ロボットのこのセリフが聞きたくて、「ガスト」を訪れる客も少なくないだろう。筆者も実にそのうちの一人だ。

 この自律走行型ロボットは、自分の位置を認識し、周辺の状況を把握するスラム(SLAM)技術で動く。従業員が、お客さんの注文したプレートを乗せてテーブル番号を押すと、ロボットは障害物をよけながら、目標に向けて最短ルートで走行する。お客さんがプレートを取り上げて、背面のディスプレーの「完了」をタッチすると、くるりと背を向け、定位置に戻っていく。その動きはなんとも愛らしい。

 すかいらーくホールディングスは、2022年12月27日に 「ガスト」「しゃぶ葉」「バーミヤン」をはじめとする全国約2100店舗で、3000台の自律走行型の配膳ロボットの導入を完了した。ロボットの名前は「BellaBot」(通称・ベラちゃん)という。生まれ故郷は中国・深セン、中国企業のPudu Robotics(普渡科技、以下PUDU)が開発した。

 日本に上陸してからは、日本人に歓迎されるような独特な動きを落とし込みながら製品化され、また、すかいらーくのサービスになじむよう、同社の配膳仕様に合わせてカスタマイズを行った。3000台という規模で中国製のサービスロボットを導入するのは同社が初めてだ。

 同社広報によれば、「『しゃぶ葉』には、さまざまな記念日に対応して歌を歌えるロボットを入れています」という。誕生日には『祝杯のマーチ』を歌いながらケーキを運んでくるそうだ。そんな猫型ロボットからは、高いエンタメ性とともに、無限に広がる店舗とロボットのコラボの可能性が見えてくる。