例えば子どもの頃、本当に辛い時に助けてもらえなかった経験があると、「助けてほしい」「でも、どうせ誰も助けてくれない」という2つの気持ちが綱引きします。
真逆の気持ちが働く状態というのは、アクセルとブレーキを同時にベタ踏みするようなものですから、体力も気力も一気に消耗します。それゆえに、限界が来た時の感情の爆発も大きいのです。「誰も助けてくれない!」と、人が変わったように怒りが爆発することも珍しくありません。
辛い時、親に頼れたか?
本当に辛い時に頼れなかった経験があると、どう頼っていいか分からなくなります。
子どもの頃に「親に頼る」という経験が少ない人ほど、大人になった時に「頼ったら迷惑なのでは」「嫌われるのでは」「相手が離れていってしまうのでは……」という恐怖を感じます。頼ることができないというより、「頼り方が分からない」のです。
「親に頼って、助けてもらう」という経験が少ない場合は、誰かが手を差し伸べてくれても気がつけないことがあります。
これまで経験したことのない優しさに「なぜ?」と疑問が湧き、「何かおかしい」「怪しい」と警戒し、助けてくれようとした人の手を振りほどいて後悔することもあります。これは自分ひとりで頑張ってきたり、親を助けてきたりした人に多く見られる傾向です。
「甘えるな」「あなたのため」は親からの呪縛となる
「甘えるな」「もっと辛い人がいる」など自分で頑張ることを求められてきた人や、「してやった」「あなたのために」「誰のおかげで生活できている」など恩着せがましい言葉に苦しんできた人は、助けてもらうことそのものに警戒心が出ます。
前者の場合は「頼ること」に罪悪感が、後者の場合は「助けてもらったら何か返さなきゃ」と恩を返す責任を感じやすいです。
「頼れない」を選んでもいい
頼れないのがダメ、ということではありませんよ。
頼るメリットより、頼らないメリットが大きいと感じるなら、それはそれでいいのです。いろいろ考えた結果「頼らない」を自分で選んで、そのことに納得できているのならまったく問題はありません。
でも「頼りたいのに頼れない」なら、なぜ頼れないのかを考えてみてくださいね。
環境のせいで頼れないのか、それとも過去の影響で「頼れない」「頼りたくない」のかを知るだけでも、生きづらさを解消するヒントが見つかりますから。