アサヒ、キリン等のビール類が並ぶ小売店の陳列棚Photo by Koyo Yamamoto

アサヒビールが2022年のビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル)のシェアでキリンビールを抜き、19年以来3年ぶりにトップに返り咲いたことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。なぜ、キリンは首位奪還から「2年天下」に終わったのか。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

アサヒビールが3年ぶりに首位奪還
キリンは「2年天下」に終わる

 アサヒビールが3年ぶりに王座奪還――。

 アサヒビールが2022年のビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル)シェアでキリンビールを抜き、19年以来3年ぶりに業界トップに返り咲いたことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。

 22年のビール類の販売数量は、キリンが前年比2.5%減の1億2100万ケース(1ケースは大瓶20本換算)で、サントリーが同5%増の5490万ケース、サッポロビールが同3.2%増の3942万ケースだった。

 アサヒは20年から販売数量を非開示にしているものの、ダイヤモンド編集部の取材によれば、同6%増の1億2387万ケース程度で、キリンを上回った。

 4社の販売数量を基にシェアを計算するとアサヒが36.5%、キリンが35.7%、サントリーが16.2%、サッポロが11.6%だった。

 1月13日に開かれたキリンビールの2023年事業方針説明会。アサヒビールとのシェア争いについて問われた堀口英樹社長は、「ボリュームからバリューへの転換(が重要だ)」と力説した。

「量から質への転換」という表現は、20年にシェアトップの座を11年ぶりにキリンに奪われ、販売数量の非開示を決めたアサヒが、当時釈明のために使っていた言葉と酷似する。事実上の“敗北宣言”だ。

 なぜ、キリンは首位奪還から「2年天下」に終わったのか。次ページではその要因と、23年の「ビール王者予想」を深掘りする。