総予測2023#60Photo by Koyo Yamamoto

2023年10月、酒類業界にとってのビッグイベント「酒税改正」が3年ぶりに行われる。ビールは減税で追い風が吹く一方、新ジャンル(第三のビール)は増税となり向かい風で、新ジャンル撤退戦とも言えるのだ。特集『総予測2023』の本稿では、新ジャンル撤退戦での「淘汰候補ブランド」の実名を明かす。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

「週刊ダイヤモンド」2022年12月24日・31日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

23年10月に酒税改正、ビール減税で回帰加速
新ジャンルは増税で撤退戦号砲

「新ジャンル(第三のビール)部隊は戦々恐々としていますよ」。あるビールメーカー幹部はこう打ち明ける。3年ぶりの酒税改正により、新ジャンルに大逆風が吹くからだ。

 2023年10月の改正で、350ミリリットル当たりのビールの酒税が70円から63.35円へと下がる。発泡酒は46.99円の据え置きで、新ジャンルは37.8円から46.99円へと引き上げられる。価格差の縮小はビールには追い風だ。

 前回の20年10月の酒税改正以降、新ジャンルからビールへの回帰が続いてきた。22年1~11月の累計販売数量は、ビールが前年同期比117%と好調だったのに対し、新ジャンルは同93%と低調だった。23年の酒税改正は、ビール回帰の流れを一層加速させることにだろう。

 裏を返せば新ジャンルにとっては厳しい事業環境に追い込まれることになり、新ジャンルから商品撤収が相次ぐとみる業界関係者が少なくない。次ページでは、新ジャンルからの撤退戦の引き金を引く「淘汰候補ブランド」の実名を明かす。