ビール大手のキリンとサントリーは、糖質ゼロビールに関する特許のクロスライセンス契約を結び、製品の改善を進めている。ライバルが手を組み、共闘する裏には、“甘くない”事情が透けて見える。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
クロスライセンス契約を締結
早速両社とも製品をリニューアル
ライバル同士が“甘くない”戦いで手を組んで市場の防衛へ――。
ビール大手のキリンホールディングス(HD)とサントリーHDが今夏、糖質ゼロビールのリニューアルを相次いで発表した。
両社は糖質ゼロビールに関する特許のクロスライセンス契約を5月16日に締結している。
「どの特許をクロスライセンスしたかは、社内でもトップシークレットだ」(糖質ゼロビールを手掛けるビールメーカー幹部)とベールに包まれているものの、リニューアルされた製品から、クロスライセンスの成果の一端が見えてきた。
キリンは糖質ゼロビール「一番搾り 糖質ゼロ」を、7月出荷分からリニューアル品に切り替えた。最大の変化はアルコール度数だ。リニューアル前は4%だったアルコール度数が、5%へと高まったのだ。サントリーの特許が改良に寄与したものとみられている。
サントリーも8月9日、糖質ゼロビール「パーフェクトサントリービール」のリニューアルを発表した。8月製造分から、キリンとのクロスライセンスを反映したリニューアル品に切り替わる。
キリンとサントリーは、ビールやチューハイなどジャンルを問わず国内酒類市場で激しい競争を繰り広げている。なぜ、クロスライセンスという形での“共闘”に踏み切ったのか。