米国の労働者たちが体験してきた激しい変化は終わりを告げようとしている。この3年間はムチで打たれるような状況を経験した。まず、定職の脆弱(ぜいじゃく)性を体験。その後、自分は解雇されないという無敵感覚を持った。そして現在、多くの人々は通常レベルに近いキャリアの安定性と、力関係に戻りつつある。これを、雇用者と被雇用者の間の「大きなバランス調整」と呼ぼう。米シンクタンク経済政策研究所(EPI)のハイディ・シールホルツ所長は「そこに向かっているのは明らかだ」と言う。ほんの少し前、新型コロナウイルスの感染拡大初期には、米国の失業率は14.7%に達し、記録的な数の仕事が失われるほど状況が悪化した。その後、事態は好転し、労働者は記録的な数の辞職をした。この流れを表すキャッチーな名前があったように思う。