「セントラルバンク・デジタルカレンシー(CBDC=中央銀行デジタル通貨)」という言葉は、あまり語呂は良くないが、言い慣れておいた方がいいかもしれない。ドルや人民元、ユーロ、円などあらゆる通貨のデジタル版であるCBDCが到来すると、そうした通貨の研究者たちは話す。そして、その設計・導入の仕方によっては、銀行システムに根本的な影響が及ぶ可能性がある。米シンクタンクの大西洋評議会が行ったCBDCに関する調査によると、114カ国がデジタル通貨を検討中で、その総経済規模は世界の国内総生産(GDP)の95%以上に相当する。中国やインド、ナイジェリア、バハマをはじめとする一部の国は既にデジタル通貨を導入している。スウェーデンや日本などは、導入の可能性に向けて準備をしている。米国はこの問題について調査し、デジタル通貨を可能にするさまざまな技術を実験しているものの、ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、米中銀には発行計画はなく、議会からの指示なしに発行はしないことを示唆している。