小売りが勝負をかける「新しい顧客体験」を可能にするデジタル変革企業は顧客に選んでもらうために、どんな方法で価値を提供すればいいのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

顧客体験価値の提供
差別化のカギはデータ活用戦略

 昨夏以降、各機関が実施した消費行動変化のアンケート調査からは、商品やサービスの選び方において、「コストは意識するが、より自分の好み・価値観にあった本当に欲しいものを買うようになった」という変化の傾向が見て取れる。

 企業は、顧客に選んでもらうために、どのような顧客体験価値の提供を目指しているのだろうか。彼らの新たな戦略を俯瞰すると、顧客体験を可能にするデジタル変革の勝ち筋が見えてくる。差別化の鍵は、データ活用戦略だ。

 ファーストリテイリングは、「世界中の1人1人にジャストフィットする顧客対応」を最終目標として掲げている。顧客の都合に合わせ、いつでもどこでも便利に買い物ができる環境を構築するため、社員やタレントを起用したライブコマースなどを活用し、店舗とECの連携・相互送客を磨き上げている。

 また、「新たな生活様式に合った店舗網の再構築」「地域密着型の個店経営」を進め、店舗を「買い物の場」から「お客様への情報発信の場」「地域コミュニティの中核」へと大きく変革させようとしている。この点は興味深い。