オーケー、神戸物産…ディスカウントストアの二桁成長を支える「安さ+α」の価値ディスカウントストアの成長が著しい。消費者を魅了するどんな付加価値を提供しているのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

80年代と異なるDS成長の背景
格差社会や多様な価値観

 ディスカウントストア(DS)の売上成長率は二桁増(2021年、業界動向サーチ調べ)と、巣籠り消費の恩恵を受けている食品スーパーマーケット(SM)の前年比2~3%増を大きく上回る。

 DSが流行した1980年代において、DSは大手スーパーによる既存不振店舗の業態転換に過ぎなかった。当時は一億総中流社会で、DSは広がりを見せなかった。大手スーパーという業態自身が儲け頭であり、DSは不振店のカンフル剤に過ぎなかった。

 しかし、現在はDSを取り巻く環境が大きく変化した。日本では、長引く賃金低迷や消費増税、震災・豪雨といった自然災害を受け、先行き不安感が醸成された。非正規雇用者やシングルマザーの増加に伴い、格差社会が到来した。女性の社会進出で、家事に多くの時間も割けなくなった。フードロス抑制に代表される環境対応も、事業者・消費者ともに重要課題となりつつある(図表1参照)。