年収は20年以上も下がり続け、老後の頼みの綱の退職金も下がり続けるサラリーマンにとって「正社員だから安泰」はもはや夢物語。個人で稼ぐ「起業」に中高年の注目が集まる中、独立を考える人が絶対知っておくべき裏ワザを元国税調査官が伝授!本稿は、大村大次郎『サラリーマンのための起業の教科書 損しないフリーランスの極意』(小学館新書)の一部を抜粋・編集したものです。
すでに持っているマイカーを経費で落とす方法
独立した人が事務所を借りたときやクルマを買ったときに、按分に応じて経費にすることはお馴染みの人も多いでしょう。
しかし、「起業前から所有していた固定資産」を事業用の資産に組み入れることもできます。そうすれば、事業の固定資産にとなりますので、減価償却費を計上することができるのです。
組み入れる方法は、ちょっと複雑な計算となります。まず起業した時点で所有している固定資産(車、家など)の資産額を、算出します。
この算出方法は、その固定資産の本来の耐用年数を1.5倍にし、その耐用年数をもとにして、起業した時点までの経過年数に応じて旧定額法を用いて減価償却を行います。その残額が、起業した時点での固定資産の額ということになります。
2年5カ月前に200万円で購入した自動車を例にとってご説明します。ちょっと面倒ですが、辛抱強く読んでください。
自動車の本来の耐用年数は6年なので、これを1.5倍にすると9年になります。旧定額法は、取得価格の90%に、減価償却率をかけて算出します。耐用年数9年の旧定額法での減価償却率は0.111です。
この車は2年5カ月使用していますが、6カ月に満たない部分は切り捨てます(6カ月以上の場合は切り上げになります)。なので、この車は6カ月部分を切り捨てて「2年」使用していることになります。この車の1年分の減価償却費は以下のようになります。
200万円×90%×旧定額法の償却率0.111=19万9800円
この19万9800円を2年分ですので、×2をして39万9600円となります。これが起業前の時点での減価償却費です。
200万円-減価償却費39万9600円=残存価額160万400円
この残存価額160万400円が起業した時点でのこの車の取得価額(未償却残高)ということになります。そして、この160万400円を固定資産の金額として、減価償却をしていけばいいのです。