リーズナブルにすしを食べられ、幅広い層からの人気を勝ち取ってきた大手回転ずし。そんな大手回転ずし業界は今、大きな転機を迎えています。円安・原価高騰を受けた価格アップ、度重なる不祥事などがあった2022年。2023年の回転ずし業界はどのように変わっていくのでしょうか?(おさかなコーディネータ ながさき一生)
相次いだ不祥事、押し寄せる原材料高騰の波
苦戦が続いた2022年の大手回転ずし
外食業界の中でも年々伸び続け、花形的な立ち位置にあった大手回転ずし。帝国データバンクの「回転すし業界」動向調査によれば、回転ずし市場(スシロー、くら寿司、かっぱ寿司、はま寿司、元気寿司の大手回転ずし5社合計売り上げ)は2021年度7400億円規模と過去最高水準となったことが伝えられています。これは、10年前の2011年4636億円と比較すると1.6倍の規模で、順当に伸びてきたことが伺えます。
しかし、2022年は状況が一変。大手回転ずし各社の減益や赤字が相次いで伝えられる状況となっています。このように風向きが変わり始めた主な要因は、2022年に各社で続いた不祥事と原材料高騰と見て取れます。
まず、昨年は、過度な広告宣伝や、ずさんな労務管理、秘密情報の盗み出しなど、大手回転ずしの不祥事が報道、SNS等をにぎわせました。
例えば、セール品の広告を見て来店してみたら欠品が続出していたという、スシローのおとり広告問題。それに対する措置命令が伝えられたのは6月でした。同社はその後、22年9月期の3Q(21年10月~22年6月)の決算で、営業利益32.2%減、純利益50.9%減の大幅減益を伝え、これは信頼を失い、客数の減少を招いたことが一因といわれています。
そして、2022年の後半に押し寄せたのが原材料高騰の波です。