コロナ禍の収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安急進が企業を揺さぶっている。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の業績において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、7〜9月度のすしチェーン編だ。
かっぱ寿司とスシロー売り上げ大格差
コロナ前と比較で思わぬ「明暗」
すしチェーンの主要4社が発表した7〜9月度の月次業績データは、以下の結果となった。
◯スシロー(FOOD & LIFE COMPANIES)の既存店売上高
7月度:前年同月比89.8%(10.2%減)
8月度:同93.7%(6.3%減)
9月度:同91.9%(8.1%減)
◯くら寿司の既存店売上高
7月度:前年同月比101.3%(1.3%増)
8月度:同106.8%(6.8%増)
9月度:同118.1%(18.1%増)
◯かっぱ寿司(カッパ・クリエイト)の既存店売上高
7月度:前年同月比101.1%(1.1%増)
8月度:同114.5%(14.5%増)
9月度:同122.2%(22.2%増)
◯元気寿司の既存店売上高
7月度:前年同月比103.3%(3.3%増)
8月度:同115.6%(15.6%増)
9月度:同119.0%(19.0%増)
すし業界といえば、最近は世間から「不祥事続出」の不名誉なレッテルを貼られてしまっている業界だ。
スシローは6月に「おとり広告」問題でイメージを大きく悪化させたことは記憶に新しい。そしてその直後の7月、「生ビールジョッキ半額」キャンペーンでも、対象期間前に告知を掲示して消費者を混乱させてしまうというミスを起こした。さらに、同キャンペーン中に一部の店舗で生ビールが品切れ状態に陥り、SNSなどで消費者から批判が相次ぐ炎上も起こした。
かっぱ寿司に至っては、9月末に運営会社カッパ・クリエイトの社長だった田辺公己氏が逮捕されるという大不祥事を起こした。
そんなすし業界の業績をのぞいてみると、9月度において前年同月比の既存店売上高が最も好調だったのは、かっぱ寿司(122.2%)だ。最も苦戦していた、スシロー(91.9%)とは30.3ポイントもの大差がある。
それでは、過去約2年分の月次の推移をデータで振り返り、各社のコロナ禍からの回復状況を確認しよう。月次業績データにおける直近3カ月の平均値を基にした最新の業界天気図も必見だ。