「相手は分かっているはず」と思っていたら、実は伝わっていなかった……。こうした経験、あなたにもありませんか? 今回は、相手に「伝わる」技術の1つ、「脳内チューニング」について、柿内尚文氏の著書『バナナの魅力を100文字で伝えてください』(かんき出版)より一部を抜粋・編集してお送りします。
「言わなくてもわかっているはず」が引き起こす悲劇
離婚の原因の第1位は「性格の不一致」だそうです。さまざまな機関で調査されていますが、どの調査でも圧倒的1位になっています。
このデータを見たとき、疑問が生まれました。
あるデータによると恋愛結婚の比率は87.9%。付き合う期間はばらつきがありますが、相手を知り、好きになって結婚しているケースがほとんどです。相手の性格もそれなりに認識して結婚しているのでは? なのに、なぜ「性格の不一致」?(結婚後に豹変するという人もいると思いますが)
離婚する夫婦に見られる特徴としてはこんなことがあるそうです。
「コミュニケーションが少ない」
「相手に対して関心が薄い」
「家族で一緒に過ごす時間が少ない」
「相手の話をあまり聞かない」
「自分の意見は正しいと思っている」
こういった気持ちになってしまうきっかけは、「言わなくてもわかっているはず」という感情がベースにあったんじゃないでしょうか。
これは家族や夫婦の間に限らず、仕事の現場でもよく起きています。仕事では「報・連・相」(報告・連絡・相談)が大切といわれますが、すべて「伝える」関連です。
日頃一緒に仕事をしていると、お互いにこういう感情が生まれやすくなります。
「言わなくてもわかっているはず」
「このことは共有できているはず」
でも、実際はそこまで共有できていない、わかりあえていないこともよくあります。
トラブルの多くが「伝えていない」から起きます。
日常の中でついつい忘れてしまうことありますよね。ほかのことに気をとられて後回しにしていることがあれば、ぜひすぐに伝えましょう。
伝えることの重要性を再認識することもできるはずです。
相手にゴールとイメージを共有する「脳内チューニング」
とはいえ、ただ「伝える」だけでは、相手に思っていることが「伝わらない」場合もあります。
実は、「言っていること」と「思っていること」の不一致は、しょっちゅう起きます。
部下 「すごく仕事が大変なんです!」
上司 「それが成長につながるよ。頑張ろう」
頭のなかでは……
部下 「忙しすぎるから言ってるんだけど……」
上司 「これくらいで泣きごと言うなんて、甘いよ……」
こうなると、もうお互いに不幸です。もちろん価値観や大切にしているものは人それぞれ。なので、完全に同じになることはありません。