筆者は、吉本でお笑いコンビ「オオカミ少年」で活動する傍ら、探偵事務所の代表を務めています。探偵歴10年の中で私はさまざまな案件を取り扱いました。探偵の仕事は大まかには、依頼者からの相談対応や聞き取り、契約や報告書作成などの事務仕事、調査における張り込みと尾行と証拠撮影に分類できます。この中で仕事の8割を占めるのが張り込みです。これまでの張り込みで大変だった調査はいくつかありましたが、体力的にも精神的にもつらすぎてもう二度と経験したくないと思った調査についてご紹介いたします。(探偵芸人 オオカミ少年・片岡正徳、登場人物はすべて仮名)
息子がみるみる痩せていく
掃除も行き届かなくなった妻
これは数年前の話で、依頼者の自宅は東京下町の某商店街のど真ん中にありました。駅から徒歩1分の3階建てでとても立派な住宅用の一軒家と、隣には仕事場としての離れがあり、その書斎で相談内容を聞きました。
依頼者は男性で、会社経営の室岡(44歳)さんでした。室岡さんは、月の半分以上は出張で家を空けるほど忙しい毎日を過ごしていました。ごくたまに家でゆっくりできる時は、小学校5年生の海斗くんとキャッチボールをするのが唯一の楽しみでした。しかし半年ほど前から、その海斗くんが会うたびにみるみる痩せていっていることと、家の中の掃除が行き届いていないことに疑念を抱き始めたそうです。