〈寄り添う施策〉
・養育費の立替払&親子の面会交流支援
・児童扶養手当の毎月支給
・戸籍のない子どもの支援
・こども食堂をすべての小学校区で開催
・児童相談所の改革(第三者チェックなど)
これらはすべて全国初です。
ただ実は、ほとんどが日本以外の他の国ではあたりまえのように実施されている施策です。
私たちの社会には、グローバルスタンダードから見て明らかに凹んでいる部分がある。だから、今の時代に必要な施策を「遅すぎてごめんなさい」との気持ちで、必死で提供しているだけなのです。
ですから、「明石市すごい!」と言われるたびに戸惑ってしまいます。正直、もどかしく、ふがいない気持ちです。こんなことが全国初になるなんて、日本がどうかしているだけなのです。決して明石市が斬新でも、特別進んでいるわけでもありません。
伝えたいのは、日本だけが、いかにこれまで「何もしてこなかったか」という残念な事実、冷たい社会への憤りです。
「せめてベーシックな子育て施策くらいは、国が全国一律で実施すべきだ」。
強く言い続けてきました。でも政治はなかなか動かない。おまけに行政には「お上意識」「横並び意識」「前例主義」が染みついています。どこもかしこも初めてのことには動こうとしません。
それなら、明石市が自腹で、最初に成功例をつくる。わかりやすく普遍化して「はい、どうぞ」と提供する。明石が始めた施策は、他のまちでも、国でもできます。その可能性を信じているからこそ、「まず明石から」やっているのです。
気づいた者が変えていくしかない。明石から社会を変える。冷たい社会を変えてみせる。子どものころからの強い思いを胸に、私は市民とともにまちを変えていきました。
市長が変わり者だからできた?
「5つの無料化」のうち、最初に実施したのは「子ども医療費」です。
当時、福島県や岐阜県大垣市、兵庫県内でも小野市など、先行して取り組んでいる自治体がいくつかありました。それらを参考に、2013年、明石市ではまず中学3年生までを完全無料化。2021年には、対象を18才まで拡大しました。