シニアの投資が「投資信託ではなく株式」で構わない理由写真はイメージです Photo:PIXTA

退職金で投資デビューは
絶対にやってはいけない

 筆者は常々、投資の経験の無い人が退職金をもらってそのお金を全て投資に注ぎ込む「退職金投資デビュー」は絶対やるべきではないと言っている。この理由は、経験の無い人が勉強もせずにいきなり投資を始めて成功するほど、投資が甘いものではないからだ。

 もちろん勉強したからと言って儲かる保証はない。加えて、投資では誰もが心理的なバイアスによって不合理な行動を取りがちになるということが起こり得る。

 具体的に言えば買って上がるとうれしくなってさらに買い増しをしたくなるし、逆に下がると嫌になって売ってしまうという行動を取りがちになる、といったことだ。言うまでもないが、上がった場合は冷静に売るか保有を続けるかの判断はすべきであっても、さらに買い増しをするというのは慎重に考えた方が良い。逆も同じだ。ところが多くの場合は逆の行動を取りがちになる。これは本人が悪いのではなく、人間が持っている心のバイアスがそうさせるから厄介だ。

 したがって、何も投資の経験の無い人がいきなり退職金というまとまったお金を投資に回すべきではない。

 では、退職者のようなシニアは投資をしない方が良いかというと、必ずしもそういうわけではない。