冷え、むくみ、肩コリ、腰痛、便秘、不眠といった、なんとなくの不調。『すごい自力整体』の著者・矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語る。「自力整体」とは、人の手を借りずに、「整体施術のプロの技法」を自分におこなえるメソッド
体のゆがみを正しい位置へ戻し、筋肉や関節のコリをリリースして、不調を根本から取り除くワークだ。現在、若い世代から高齢の方まで約1万5000人が実践している。東洋医学をベースにしながら効率的に問題解決するのも人気の秘訣。なぜ「自力整体」はいいのか?(構成/依田則子 撮影/榊智朗)
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家

「冷たくて、硬い体」は老化のはじまり? 整体プロが教える血流改善法

不調がでやすい5つのタイプにご用心

――矢上さんの著書『すごい自力整体』で紹介のワークは、体をゆっくりバウンドしたり、ユラユラゆするだけなのに、体がポカポカになって、ぐっすり熟睡できました。

矢上真理恵(以下、矢上):それはよかったです。「自力整体」は整体師がおこなう技法をつかうので、効率よく血流改善できるんですね。

「冷たくて、硬い体」は眠りが浅くなり、老廃物も溜まりやすくなって、老化が加速する傾向にあります。日ごろから「あったかくて、柔らかい体」を意識することは大切です。

――「自力整体」を知っていれば、将来の健康不安もすこしラクになりますね。

矢上:そうですね、今すぐ痛みやコリを緩和されたい方にも役立ちますが、フレイル(心身の虚弱)予防としても活用してくださる方も多いです。

「自力整体」の動きはゆっくりペースですし、しかも気持ちよさを感じることができるので、この先も長く続けられると思います。

――ちなみに、整体の視点から、いま元気な方や若い方でも、いつか歩行困難や寝たきりになりやすい特徴はありますか?

矢上:決して歩行困難や寝たきり状態になるとは断言はできませんが、次のような特徴の方は、いつか不調が出やすい傾向です。ぜひ「自力整体」をおすすめしたいです。

1 壁に背中を付けバンザイすると、手の甲が壁につかない
2 猫背、頭部が体の前側に傾いている
3 肩に力が入っていて、首が短く詰まっている(いつも凝っている)
4 歩幅が狭く、つまずきやすい
5 肥満

 これらの特徴は、姿勢が悪化していて、ゆがみがあり「冷たくて、硬い体」なのです。血行不良で老廃物も溜まりやすく便秘がち、老化が加速しやすい傾向です。

――5つのうち、いくつか当てはまるので、心配になってきました。

矢上:安心してください。しばらく「自力整体」で血流を改善していけば、若さと健康をキープできますよ。

 私の著書『すごい自力整体』で動画でも紹介している「20分間ショートレッスン」は、寝そべりながらラクに血行促進できるので、初心者の方にもおすすめです。しなやかな血管づくりに「自力整体」をぜひお役立てください。

「冷たくて、硬い体」は老化のはじまり? 整体プロが教える血流改善法矢上真理恵(やがみ・まりえ)
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。 写真/榊智朗

監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『DVDで覚える自力整体』『DVD3分から始める 症状別 はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。