対日直接投資残高(2022年9月末)

生産性上昇に資する対日直接投資・国内投資回帰、政府の財政膨張が妨げ対日直接投資残高(2022年9月末) 出所:財務省「対外資産負債残高の四半期推計」(一次推計)

 日本の1人当たり労働生産性は、2021年にOECD(経済協力開発機構)加盟38カ国中29位となるなど、低迷している。

 背景には、1980年代半ば以降の大幅な円高、貿易摩擦、内外賃金格差などから対外直接投資が活発化し、生産の海外移転が進んだことがある。企業は生産技術の進歩と人的資本の蓄積を、国内ではなく海外で実現させた。

 他方、国内の生産性上昇に寄与する対日直接投資は非常に少ない。昨年9月末の残高は44.8兆円、GDP比8%程度で、1桁なのはG20で日本だけだ。政府は20年に対日直接投資残高を10年後の2030年に80兆円へ倍増、GDP比12%の目標を決め、さまざまな促進策を講じているが、目標以上の投資の呼び込みが望まれる。