雨宮・日銀次期総裁報道で1ドル「132円」台も、日銀より重要なドル円相場を左右する実需1月30日の衆院予算委員会に臨む日本銀行の黒田東彦総裁(中央右)と雨宮正佳副総裁(同左) Photo:JIJI

10年ぶりに日銀総裁が交代へ
しかし為替への影響は一時的

 日本の大手新聞は、6日の朝刊で、政府が、次期日銀総裁に現日銀副総裁である雨宮正佳氏に就任を打診している、と報じた。雨宮氏は現副総裁であるため、仮に同氏が次期日銀総裁になった場合、市場は現行金融政策との連続性が維持されると期待するだろう。日銀が急激に金融緩和を縮小しなければ、円高要因が減ったともいえる。

 日銀総裁は、内閣が任命するが、衆参両院での承認を必要とする。ただ、与党の自民党と公明党の両党で、衆参両院で過半数を有しているため、市場は、雨宮氏を次期日銀総裁と想定して、動き始めたようだ。現に6日のドル円は、一時132円台と、前日比1円以上も、円安方向に動いた。

 しかし、筆者は、雨宮氏が次期日銀総裁になったとしても、その人事で円安が進むとは考えていない。なぜなら、ドル円レートの水準に大きな影響を与えるのは、日本よりも変動幅が大きい米国の政策金利と、日本の貿易収支や直接投資などの実需と考えているためだ。日本の金融政策のあり方がドル円に与える影響は、相対的に小さいだろう。