
山下 周
2023年のドル円相場は3年連続の大幅円安で終わりそうな様子だ。来年(2024年)も円安となれば、円安トレンドが長期であるとの見方も増えるだろう。来年は円高圧力が高まると考えるエコノミストが、ドル円を左右する材料を整理したうえで、来年も円安になるかを考察する。

2023年6月末の家計(個人)の金融資産は、約2115兆円と過去最高を更新したが、外貨建て資産の比率は大きく上昇していないと試算される。しかし、円安トレンドが続くなか、個人が資産防衛のために外貨建て資産を増やせば、円安が進む可能性が高まる。日本から海外への資金シフトで円安に動いた過去の局面を振り返り、個人が外貨建て資産を増やした場合の円安リスクを考察する。

8月のジャクソンホール講演後、米金利市場は9月連邦公開市場委員会(FOMC)以降の追加利上げの可能性をある程度織り込みつつ、年内の米利上げ停止と来年前半の米利下げ開始を想定している。過去の米利上げ停止と米利下げ開始後の金融市場の動きを振り返り、過去の経験則から予想される米長期金利、ドル円、米国株のメインシナリオとリスクシナリオを展望する。

日銀は7月27・28日の日銀金融政策決定会合で10年国債金利の上限を実質的に0.5%から1.0%に引き上げた。しかし、日本の10年国債金利の上昇幅は小幅にとどまり、ドル円トレンドはドル高円安である。日本の10年国債金利が大幅に上昇しない理由と円安が続いている要因を整理したうえで、ドル安円高に転換するタイミングを過去の米利下げ局面の経験から考察する。

米国株(S&P500種株価指数)は、強気相場入りの目途となる直近の安値から2割上昇という条件を満たした。昨年1月以降の弱気相場は、終わったかにみえるが、過去と比べると今回の状況は大きく異なる。米国株は本当に強気相場に入ったのか、過去50年の強気相場の特徴を踏まえ、今後注目すべき点を考察する。

ドル円は、昨年11月以来の円安水準となる140円台まで上昇した。しかし、ドルの上昇サイクルは昨年10月に終わったと考えられる。ユーロの上昇を促す要因を整理したうえで、ドル円よりもユーロ円に上昇余地があると予想する理由を解説するとともに、ユーロ円の上昇余地とリスクを論ずる。

4月の日銀・金融政策決定会合の結果は、ハト派的と受け止められ、ドル円は137円台まで円安が進行した。しかし市場は、米利上げ停止や年内の米利下げなどを想定している。過去の米利上げ停止や米利下げ時の米10年金利の動きなどから、ドル円の下値が130円程度となる理由を提示する。

3月中旬以降、欧米の金融不安が高まり、ドル円は130円割れまで円高に動いた。しかし、その後、ドル円は130円台前半まで戻った。市場関係者の多くは、年内の米利下げを想定し、ドル安円高が続くとの見方をとっている。過去、円安から円高へ転換した局面の特徴を整理したうえで、米金利の低下余地から、円高の限界を考察する。

2月に発表された米雇用統計やCPIを受けて、米利上げの長期化観測が高まっている。株式市場では、米利上げでも、米国景気が堅調に推移するノーランディングというシナリオも浮上した。過去の米国株と米長期金利や米金融政策の関係を整理したうえで、3つの景気シナリオ別に、米国株の行方を考える。

次期日銀総裁人事のタイミングで、日銀が金融緩和を縮小する可能性が、円高リスクとして意識されている。しかし、ドル円の今後の行方を占う上で重要なのは「ファンダメンタルズ」だ。日銀の金融政策を左右する要因を整理したうえ、今後のドル円を左右する材料と方向について論ずる。

2023年の米ドル円の予想は、円高ドル安が多い。米中銀の利上げ停止が視野に入っているからだ。しかし、ドル円は、2022年10月の151円台から、年始に129円台まで円高に動いた。2023年のドル安円高の余地は大きいのだろうか。過去のドル安円高に転換した後の円高進行ペースや日米10年金利差の観点から、ドル円の下限を考察する。

ドル高円安の主因である資源高や米利上げは時間とともに変化し、ドル高円安はいずれ終わりを迎えるだろう。ドル円を左右する要因が今後どう変わるかを整理したうえ、ドル高円安が終わるきっかけとなる4つのポイントや時期について考察する。

米金利市場は、米連邦準備理事会(FRB)が2023年前半に利上げを止めることを織り込んでいる。米利上げ停止が視野に入ったためか、米国株(S&P500種株価指数)は10月中旬から反発している。米利上げ停止は、米国株の上昇要因になるだろうか。米利上げが停止した前後の、米長期金利や米国株の過去の動きを振り返り、米国株が上昇する条件を考察する。

ドル高円安の主因である資源高や米利上げは時間とともに変化し、ドル高円安はいずれ終わりを迎えるだろう。ドル円を左右する要因が今後どう変わるかを整理したうえ、ドル高円安が終わるきっかけとなる4つのポイントや時期について考察する。

米国株は、半値戻しの後に、6月の年初来安値を更新するなど、過去にない値動きを続けており、その背景として米10年金利の大幅な上昇が考えられる。9月のFOMCで示された米政策金利見通しなどから10年金利の上限を試算するとともに、11月の米中間選挙が市場に与える影響を整理し、米国株が上昇する条件とリスクを探る。

過去5回の米利上げ局面では、利上げ開始からの半年間におけるドル円はドル安円高の動きを示したが、今回は大幅なドル高円安が進行した。米利上げペースが、過去の利上げ局面に比べて速いため、ドル高円安になったと考えられる。米国経済のファンダメンタルズやFRBの予想などから米政策金利の今後の動きを予想し、ドル円相場への影響を考察する。

米国株(S&P500種株価指数)は、年初来の高値から2割以上も下落したが、6月中旬の直近安値から10%以上も反発している。米国株の反発が続く条件を、逆イールドの発生と米利上げの天井という2つの視点から考察する。

ドル円相場は、一時1ドル137円と1998年以来の円安水準となり、1ドル140円も視野に入っている。日本の貿易赤字の拡大や日米金利差の拡大などドル高円安に動く材料が多いなか、あえて円高に動くリスクを点検する。

米国株は、年初の高値からの下落率が20%に近づいて弱気相場入りが懸念されたが、反発している。過去の株価反発局面や弱気相場が底打ちする際の特徴を整理し、米国株が上昇する条件とリスクを考察する。

ロシアのウクライナへの軍事侵攻を受けて、主要国通貨では、日本円、ユーロの下落幅が大きい。ユーロは、1.05ドル台と20年ぶりのユーロ安水準となる1.03ドル割れが近づいている。ユーロが、日本円と違い上昇に転ずる4つの理由を明快に説明するとともに、ユーロ高を脅かす2つのリスクを解説する。
