日本銀行の次期総裁の最有力と思われていた雨宮正佳・日銀副総裁が、総裁就任を固辞したと報道されている。その理由として報じられている内容を見て、筆者は大きな問題が二つあることに気付いた。聞き流すことができない重大な内容だ。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)
「意外だが無難」な
日銀の正副総裁人事
日本銀行の正副総裁人事が意外な形で決着しそうだ。政府は、2月14日に植田和男総裁、氷見野良三副総裁、内田真一副総裁という3人の人事案を国会に提示した。現時点では国会の承認待ちだが、大きな反対があるとは思えない。この形で決着するだろう。
日銀の次期正副総裁を岸田文雄首相が決めることは、岸田氏の経済政策への関与として影響最大の案件であり、株式市場などでは、大きな「岸田リスク」の一つと見られていた。しかし、少なくとも直ちに株価が暴落するとか、円高が急激に進行するとかといった「〇〇ショック」と名付けられる事態は避けられそうだ。
植田総裁は選ばれてみると納得できる面が多々あるのだが、意外な人選だった。高名な経済学者であり、かつて日銀の政策委員会審議委員を務めているので実務面や組織面も含めて日銀の諸々に詳しいはずだ。時々報道された発言などを見ると思考はクリアで加齢を感じさせない。