1993年5月のヴェルディ川崎vs.横浜マリノスで幕を開けたJリーグは今年、節目の30周年を迎える。2月17日の開幕戦(川崎フロンターレvs.横浜F・マリノス)でキックオフを迎える新シーズンを前に、野々村芳和チェアマンがインタビューに応じ、Jリーグの新戦略を明らかに。Jリーグを放映するスポーツ動画配信サービス「DAZN(ダゾーン)」の度重なる値上げでファン離れの懸念も台頭する中、日本サッカーをいかに盛り上げていくのかを直撃した。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
DAZN値上げへの対応は?
Jリーグ新戦略を明らかに
――収益構造を比較すると、欧州五大リーグは放映権が最大の収益源なのに対し、Jリーグはスポンサー収入が最大となっています(『Jリーグ各クラブ「生き残りの鍵」、欧州との比較・収益構造徹底分析で検証』参照)。21年度はコロナ禍も影響し、57クラブ中「単年度赤字22クラブ、債務超過12クラブ」となりました。持続可能な安定経営を目指す上で、Jリーグ全体の収益の在り方を欧州型に近づけていきたいなどの考えはありますか。
世界のサッカーシーンの中でJリーグをより魅力的なものにするには、やはりビジネス的にも成功しなければなりません。放映権をどう上げていくかは、すごく大きなポイントで課題です。
Jリーグも今までは(リーグ収益から各クラブに対するJ1とJ2に対する配分金の比率が)2:1だったのが、今後はより上位チームに多く配分していこうとしています(編集部注:J1とJ2の配分金比率は2:1から今後段階的に5~6:1程度へ高め、上位クラブほど手厚くしていく基本方針を決定済み)。
これからビジネス的な競争と、競技的な競争の両方が高まると、トップクラブが出てきて放映権も上がりやすくなる、そんな状況をつくっていければよいのかなと思います。
――2017年に10年2100億円の放映権契約を結んだDAZN(ダゾーン)の相次ぐ値上げを受け、ファンからはJリーグ人気にも影響しかねないとして不安の声が上がっています。ファン層拡大や維持の観点から、Jリーグとしての対応はありますか。
次ページでは、DAZNの相次ぐ値上げを受けたJリーグとしての考え方を明らかに。さらに、人口減が進む中での地方創生戦略や、「アジアのプレミアリーグ」を目指すJリーグのアジア戦略、野々村チェアマンが考える「世界と差別化できるJリーグの強み」に至るまで、その全容を大公開する。