企業の「格」は
心配しなくていい
のび太君のような超初心者に向けて、レベルを抑えた発信をすることに対しては、抵抗感を覚える方もおられるでしょう。特に老舗企業や高級店になると「初心者向けのハウツー動画なんて安っぽいことをやっていたら、企業の格やブランドイメージが損なわれるのでは」と心配されるかもしれません。
しかし結論から申し上げると、初心者レベルの発信をすることでブランドが毀損するといったことは、まずありません。安っぽく見られるどころか、むしろ「高級店なのにこんなに親切なんだ!」と好意的に受け止められるケースがほとんどです。
具体的な事例を見てみましょう。
東京・四ツ谷、迎賓館近くの閑静な住宅街に「オテル・ドゥ・ミクニ」というフレンチレストランがあります。
ランチコースが1万円、ディナーが2~3万円程度と、それなりの格式あるレストランで、オーナーシェフの三國清三さんはフランスでレジオンドヌール勲章を授与された一流の料理人です。コロナ禍を機にYouTubeチャンネルを開設したところ、またたく間に人気となり、チャンネル登録者数は現時点で34万人以上に達しています。(※チャンネル登録者数は2022年9月執筆当時のもの。2023年2月現在は40.5万人)
投稿されているのは主に家庭でできるフランス料理のレシピ動画です。
三國シェフみずからカメラの前に立ち「皆さまこんにちは」「今日はフランス人が大好きな○○○の作り方を紹介します」「ここではちょっと多めに塩コショウします」というように、調理の工程を丁寧に説明していきます。取り上げるレシピはレストランの格からすると庶民的なものが多く、高級食材や特殊な調理器具も使いません。
その格式張らないフランクな雰囲気こそが、同チャンネルの人気を支えているのです。
これまでは雑誌の特集記事を探すか、弟子入りするかしないと見られなかった“世界のミクニ”の調理が見られるというのは、それだけで価値があるものです。
コロナ禍でニーズが高まった「おうちフレンチ」のレシピを紹介するという目の付け所もよかったのだと思います。しかしそれ以上に、動画を見ていると三國シェフのフランクな人柄が伝わってきて、みんな彼のファンになってしまう。
その結果として、レストランへの集客効果が生まれているのです。
これがもし、世間一般の人々が高級レストランに対して思い描くような、お高くとまった雰囲気の動画を発信していたらどうだったでしょう。レシピの内容が同じだったとしても、誰もシェフのファンになることはなく、集客・宣伝効果もゼロに等しかったのではないかと思います。
視聴者の反応を見ていると、企業がツンケンしている時代は終わったのだということを、つくづく実感します。現代の消費者は、高いところで澄ましこんでいる人や会社よりも、大衆レベルにまで降りてきてくれる人や会社の方がスマートだと評価するのです。
もう一つ例を挙げると、私がプロデュースしている某経済専門誌系列の公式チャンネルも、本誌にくらべると相当くだけています。
書店などで売られている紙の本誌の方は、青、白、黒などをベースにしたシンプルな表紙で、いかにも「おカタい経済誌」という雰囲気ですが、YouTubeのサムネイルのテイストは完全に「大衆向け週刊誌」のそれです。
『会社の売上を爆上げする YouTube集客の教科書』(自由国民社)大原昌人 著
しかし、それによって読者が離れていったという話は聞きません。
むしろ読者は減るどころか増えています。私がプロデュースする前は、本誌と同じようなお堅いノリでやっていたためチャンネル登録者数は900人前後と低迷していましたが、大衆誌テイストを採り入れてからは、ぐんぐん伸びて人気チャンネルの仲間入りを果たしました。
高級レストランや硬派な経済メディアでさえ、お茶の間のレベルに合わせた大衆向けのコンテンツを発信しているのだから、あなたの会社だって躊躇する必要はありません。安心してのび太君向けのコンテンツを提供し、広く認知を獲得していきましょう。







