外出自粛が求められる環境下では、顧客に「行きたい」と思わせられるかどうかが、小規模店舗の“生死”を左右する。『ポストコロナ「勝ち組」の条件』(全18回)の#14では、繁盛店にポストコロナ時代の集客術を伝授してもらった。
「クソまず過ぎて笑っちゃいました」「これ、まず過ぎる」――。
高級すし店「寿司赤酢」のオーナー、寿司仙人(匿名)がインスタグラムで“酷評”するのは、なんと自店舗のすしだ。
外出自粛など新型コロナウイルスの感染拡大による消費者の行動変化で、小規模店舗が悩んでいるのは集客法だ。ネット広告や口コミサイトなど、従来の集客ツールの効果が薄れているのだ。
「外食業界では多くの飲食店がグルメサイトにかける販売促進費用を減らしている。店選びの際、SNSをはじめとして情報源が増えていることが一因だ」と、エビソル代表取締役の田中宏彰氏は語る。
「口コミサイトは、金をたくさん払った店が上位に表示されると聞いて以来、信用していない。インスタやツイッターなどSNSの投稿からは、利用者の本音が見えてくる」と東京都内の20代女性は店選びの新基準を明かす。
冒頭の寿司赤酢は、コロナ禍でも連日満員。大阪・北新地の店舗は現在1年2カ月待ちになっている。客単価は2万円程度と高額だが、ターゲットはファミリー層。高級店に行きたいけれど、小さな子供がいるから行けないと悩む層を取り込んでいるという。