新型コロナウイルスの影響を最も受けた業界の1つである飲食業界。緊急事態宣言の解除により営業を再開した店舗も少なくないが、コロナ以前のような売り上げはなかなか見込めない。こうした状況下で、自分たちのブランドを守りつつ売り上げを確保するために、飲食店はどう奮闘しているのか。(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)
来店数8割減でテイクアウトへ移行
集客ツールは無料のSNS中心に
「今年5月の1店舗あたりの来店件数は、昨年同月比で84.1%減になった」
こう語るのは、飲食店の予約・顧客管理システムの開発・提供を行うTableCheckの仁木有花氏。さらに、昨年5月のTableCheckのシステムにおける1店舗当たりの予約件数は12.6件だったが、今年5月は2.0件にまで激減した。
こうしてイートイン需要が激減する中で、飲食店を支援しようと同社が4月16日に始めたのが、「テイクアウト/デリバリー受付/前売り応援プラン」に対応した予約システムの無償提供だ。
9月末まで初期費用・月額費用・注文手数料が無料になることもあり、4月16日~5月7日の期間で新規に210店舗が導入。「平時の新規加入店舗数は月100件程度のため、それを2倍以上も上回るペースで申し込みがあった」(仁木氏)という。
新規申し込みがあった店舗は、カジュアルな店から高級店までさまざまで、これまでテイクアウトを行っていなかった店まで参入し、新たな顧客の取り込みにつながっている。
「ミシュランガイドで星を獲得している人気店が初めてラーメンを作るなど、新たな商品もテイクアウトで展開されている。普段お店に行く機会がなかった人でも、気軽に手を出せるのが魅力だろう」(仁木氏)
さらに、コロナ禍は、集客ツールにも影響を及ぼしているという。売り上げの減少によって、コスト削減が余儀なくされた一方、無料で使える便利なツールと機能がリリースされたためだ。
「5月12日に写真・動画投稿アプリInstagram(インスタ)から『料理を注文』『ギフトカード』『お店を応援』の新機能がリリースされ、飲食店にとってさらに便利な集客ツールへと変貌を遂げつつある。これまでの広告媒体から、インスタをはじめとする無料のSNSを活用して、集客を図る飲食店が増えるのではないか」(仁木氏)