優秀でも自社しか知らず
他流試合ができない
●自社グループで良しとされる戦略、組織的行動の作り方、成功パターンの実践は完全にマスターしているが、それ以外の思考・行動様式については、耳学問や研修などの知識はあっても体験に裏打ちされた自家薬籠中の対応スキルは保有していない。
●自社と自社グループに関連した、実際に業務を一緒に行った人的ネットワークを持ってはいるが、それに限定されている。それ以外の人的ネットワークはあったとしても、協働し得るものではなく、表面的な交流による知り合いレベルと言えるものである。
●自社と自社グループにおいて、優秀な人がどのような人であるかについてはよく知っているが、他社においては、自社とはまったく違ったタイプの思考・行動特性を持つ人が優秀とされ、実際に機能していることを、実感をもって知らない。よって、他社の人材については、過大評価または過小評価しがちである。
●自分のキャリア形成において、自らの大きな意思決定を一度もしたことがなく、大きなリスクをとったことがない。
といった“内弁慶な人”なのである。
もちろん、優秀な人たちであるから、一生懸命に努力し、ネットワークを広げ、多くの人から学ぼうとしている。しかしながら、他流試合を一度もしたことがないというのは、自分のホームグラウンドから離れたところでも使える勝負勘や意思決定力を持っていないということである。経験のバリエーションが決定的に乏しいと言わざるをえないであろう。