生え抜きの中心人材と
「外部傭兵」で対応してきた大企業
ただし、これまでの日本の大企業の組織は、前述のような内弁慶問題に対して、かなりうまく対処してきた。それは二つの群の人たちが互いにコンビネーションを組んで、環境変化に対応してきたからである。
●グループ1
新卒からの生え抜きの幹部グループ。会社の主要な理念や価値観、コアコンピタンス、組織文化を継承している。知的レベルも高く、いわゆる優秀な人たちである。しかしながら同質性が高く、社内の人員に対して連帯感を持つ半面、閉鎖性を持つ。
●グループ2
高いスキルを持つ外の人(外の会社から転職してきた人)のグループ。会社が不慣れな領域でリーダーシップを発揮する。成果を出し続ける限りにおいて重宝され、会社や社員たちとは“機能的なつながり”を持つ。
あくまで主役はグループ1である。新卒入社の社員は会社の家族のようなものであり、長年、会社に居続けることによって、多くの経験を共にし、会社と個人が不即不離の関係になる。そのくらいになってこそ、会社を代弁して話をすることができるようになる。そしてこの中から将来の会社の代表が選ばれる。
グループ2は口に出しては言わないものの、傭兵(ようへい)のようなものである。必要なときには高いお金を出して買うが、必要がなくなれば(気持ち的には)サヨナラである。悲しい関係のように見えるかもしれないが、そういう付き合いを好む人もたくさんいる。この場所で良い経験を積んで、ステップアップできればいいのであって、むしろ会社や新卒入社の社員とは、仕事を通じた機能的な関係を維持し続けることを好むのだ。
これまで大企業はグループ1をメイン、グループ2をサポート部隊として位置づけ、またそれを前提として、グループ2があくまで助っ人の本分をわきまえている限り、意外とうまくマネジメントしてきたのである。
あるいは、会社が窮地に陥った際にだけ、いったんグループ2のプロフェッショナルたちに経営を任せ、復活したら、再び1のグループが中心に戻り、まかり間違って2のグループが中心に居残り続けようとするならば、手練手管を使って体よく追い出してきたのである。