こんなふうに、とりあえずは、グループ1とグループ2の均衡の上に組織がうまく回ってきたのであった。
しかしながら、現行の、グループ1を基本に足りないところをグループ2で補うやり方では、これからは無理になるのではないかというのが、現在想定されている組織的リスクの一つなのである。
グループ1は、既述したように、同質性が高く、他のビジネスを知らず、他の世界での優秀な人を知らず、退路を断って挑戦をした経験もない人たちである。優秀とはいっても、既存のビジネスを遂行するうえでの、あくまで自社基準の優秀さであって、他の戦略を知らず、他の組織の動かし方も知らないし、他の業態の優秀な人の使い方を知らない。
一度でも転職したことのある人(もしかしたら大きな会社で、他部署に異動しただけの人でも感じるかもしれないが)は、組織によって、どういう人が重用されるのか、事業の進め方も含め、どういう行いがOKでなにがNGなのか、ある組織で活躍していた人が同じ能力でも別の組織では活躍できないなど、組織文化の違いがあることを身にしみて感じたことがあるだろう。
グループ1は、今後の事業展開において自社の得意技を拡大するような局面にあれば問題ないが、他社と組んで何かを起こす、新しい領域に挑戦する、などといった場合には、ほとんどの場合、対応力に欠ける。
そして現在は、残念ながら、ほとんどの大企業は、自社の得意技を単純に拡大するような段階にはない。外部と何かをやらねばならないのである。