「このまま」今の仕事を続けても大丈夫なのか? あるいは「副業」をしたほうがいいのか? それとも「起業」か、「転職」をすべきなのか? このように感じたとしたら、それは皆さんの考えが正しい。なぜなら、今感じているお金に対する不安は、現実のものとして近づいているからです。無収入となる65歳から70歳、もしくは75歳までの空白期間を、自己責任で穴埋めしなければならなくなる未来が、相次ぐ法改正でほぼ確定しました。
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確定申告で直面する悩みは2つ
悩ましい確定申告の季節が到来しました。何が悩ましいかというと、1つは所得の「申告漏れ」です。そして、もう1つは税金の「納め過ぎ」です。
シェアリングエコノミー協会によると、2022年度シェアリングエコノミーの市場規模がコロナ禍で過去最大の2兆6158億円になったとのこと。ネットフリマやスキルシェア、カーシェアリング、民泊など、副業のネット取引の拡大が背景にあるようです。
収入が増えること自体は喜ばしい限りですが、サラリーマンは確定申告に不慣れです。そのためこの時期、特に騒がれるのが、過去の申告漏れです。ネット取引で得た所得の申告漏れは、2022年6月までの1年間で、前年比約22億円増の約116億円だったとのこと。悪気がなくても無申告加算税がかかるので、当然ですが申告漏れは避けなければなりません。
一番悩ましいのは、税金の「納め過ぎ」
しかし、申告漏れよりも、もっと悩ましいことがあります。それは、税金の「納め過ぎ」です。「申告漏れ」と違って、税務署は「納め過ぎ」を指摘してくれません。もちろん、源泉徴収分については、年末調整があるので心配ありません。厄介なのが、副収入の所得を「納め過ぎ」ることです。自分で気づいて修正申告しない限り、払いすぎた税金は戻ってきません。
生活必需品の利益には税金がかからない
一番ありがちなのは、使わなくなった洋服や帽子・靴などをネットフリマで売却して、その利益を申告して納税するパターンです。この場合、仮に利益が100万円でも、本来は納税する必要はありません。なぜなら、生活必需品の売却で得た利益は非課税だからです(所得税法第9条 第1項 第9号)。
そして税務署は、ネットフリマで売ったものが生活必需品かどうかまではわからないので、「納め過ぎ」であることを指摘できません。
お金が出ていかない経費も忘れてはいけない
次にありがちなのは、仕入れ代金や手数料、その他雑多なコストを控除漏れすることです。所得税は消費税と違って、あくまでも利益にかかる税金なので、諸経費をすべて差し引けます。たとえばカーシェアリングで車を貸して収入を得る場合、車の維持費などを按分して経費化できます。減価償却費というお金が出ていかない経費も差し引くことができます。こうやって経費を差し引いくと、最終的な利益は意外と小さくなります。
ところが税務署には、どれだけ経費がかかっているか見えません。そのため、うっかり経費を引き忘れて「納め過ぎ」ても、指摘してもらえないのです。
税制を逆手にとって確定申告を回避する
これらのケースでは、修正申告すればお金が戻ってきます。そこで、心当たりがある人は、あらためて確認してみましょう。
そして、このカラクリを逆手に応用すると、副収入絡みの納税を事前に回避できるようになります。副収入が増えること自体は嬉しいとしても、面倒な確定申告を避けたい人も多いと思います。そんな場合、副収入を得ながら、確定申告を回避できます。
1つ目は、ネットフリマを生活必需品に特化して使い倒す方法です。どんなに利益が出ても所得税は発生しないので、確定申告を気にする必要がなくなります。
「20万円の壁」を活用する
2つ目は、「20万円の壁」の活用です。副収入などの雑所得に税金がかかるか否かの分水嶺に「20万円の壁」があります。所得が20万円超なら所得税がかかりますが、20万円以下ならかかりません。「20万円の壁」とは「20万円の利益の壁」なので、出費を上手に経費化すれば、意外と簡単にクリアできます。
副収入と無関係な生活費を経費扱いにしてはいけませんが、ランチミーティングのような常識的な経費であれば大丈夫です。こうした工夫を積み重ねていけば、私の個人的な感覚では、100~200万円程度の副収入があっても、利益を20万円以内に抑えられるケースがほとんどです。
外部流出しない経費を活用する
3つ目は、経費をもっとうまく活用する方法です。経費にはキャッシュが外部流出するものと、しないものがあります。外部流出しない経費を増やしても、お金は手元に残ります。先ほどの減価償却費や出張手当がそれにあたります。そのうえで、利益(所得)が20万円以下におさまるように、売上と経費のバランスを取れば、所得税の確定申告を回避できます。
前々回の「なぜ、節税すると景気がよくなるのか?」でも紹介しましたが、節税は悪いことではありません。お金が回ることは、社会にとっていいことです。
上記で紹介したケースは副業レベルの収入ではないので、就業規則で副業が禁止されていても、問題にはなりません。副収入を生む2つ目の稼ぎ口にもいろいろな種類がありますので、ご自身にあった稼ぎ方を見つけてみてはいかがでしょうか。
**本記事は、『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい 年収アップと自由が手に入る働き方』著者による書き下ろしです。