高校生に美容整形を促す電車内広告に、ツイッター上で批判が集まった。日本は他国に比べて整形手術への抵抗感が強いと言われてきたが、今回の広告批判は単純な整形批判ではない。背景には、コンプレックスビジネスやルッキズムへの警戒感と、昨今の「ボディ・ポジティブ」の風潮がある。(フリーライター 鎌田和歌)
電車内の広告が炎上、何が危ういのか
2月中旬、ツイッター上で物議を醸したのはSBC湘南美容クリニックの「Teen二重術」広告だ。
高校生をターゲットとしているようで、制服姿の3人の女子高校生がさわやかに走る写真に「前は運動、嫌いだった。汗で二重のり、取れちゃうから。」「汗、水、すっぴん怖くない!たった3年の高校生活。1秒でも長くカワイイ私で過ごしたい」などの文字が載っている。
ほぼ未成年の年代に向けて整形を勧める内容であり、一重よりも二重のほうが「カワイイ」という価値観を強く打ち出している点などに批判が集まっている。拡散している批判ツイートの中には6.5万以上の「いいね」がついているものもある。
これらの批判を見て、近年よくある広告の炎上であるとか、整形手術への抵抗感、あるいは「高校生が整形をすべきではない」といった考えから来るものと捉える人もいるかもしれない。しかし、ルックスやコンプレックスについて、これまで議論が積み重ねられてきた時代だからこそ、批判が集まっているのだという点を理解した方がいいだろう。