運営元は「コンプレックスを植え付ける意図はない」というが…

 ねとらぼの記事『物議醸した高校生向け二重整形の広告 運営元「コンプレックスを植え付ける意図はない」』(2022年2月22日)では、「近年、身体的特徴のコンプレックスを煽ったり不安にさせたりする『コンプレックス広告』が問題視されてきました」と指摘されている。

 ねとらぼの取材に対して、運営元のSBCマーケティングは「コンプレックスを植え付ける意図はございません。(略)そのような捉え方に誤認を招いている可能性を踏まえて、今後の広告方向の検討とさせていただきます」と回答したという。

 しかし、「汗で二重のり、取れちゃう」「すっぴん怖くない!」「たった3年」などの表現は、コンプレックスを刺激する扇情的な文言だと感じざるを得ない。

 近年、特にネット上では「脱毛していなかったから彼氏にドン引きされた」「太っていたからフラれた」など、大げさに言えば脅しのようなかたちでコンプレックスをあおる広告がアップされることがあり、これまでにも問題を指摘する人がいた。

若年層の摂食障害も…外見至上主義の危うさ

 それではなぜ、コンプレックスを刺激する広告に懸念が集まるのか。

 以前から外見に強くこだわるルッキズム(外見至上主義)への批判はあり、近年徐々に強まる傾向がある。美しい人に見ほれたり、自分の外見を少しでも美しくしたいと思う気持ちは多くの人にあるが、それをことさらに言い立てたり、画一的な美を押し付けたりすることに警鐘が鳴らされている。

 その理由は、外見への過剰なこだわりが、人の心身に影響を及ぼす場合があるからだ。

 特に多感な10代は、人と自分を比べて悩み苦しむことがある。「痩せているほうが美しい」という思い込みから過度なダイエットを繰り返した10代が摂食障害になることもあり、痩せすぎのモデルを起用しないでほしいという医療業界からの訴えもある。

 また、外見至上主義は人種差別を含む差別につながる場合がある。一重よりも二重、平面的な顔よりも立体的な顔、肌は白いほうが良い、背は高く脚が長いほうが良い、メガネよりも裸眼が……といった価値観は、そうではない外見は劣っているという評価につながる。

 たしかに日本の化粧品売り場には二重まぶたに加工するための商品が売り場面積の一角を占めており、二重を望む男女が多い事実はある。しかし、メイクや整形の技術が進化して、昔より一重から二重になることが比較的容易になったからなのか、10〜20年前よりもさらに一重コンプレックスが強調されるようになっているようにも感じる。

 個人的な感覚では、90年代や2000年代頃までは、化粧や整形手術での加工よりも、素の美しさが評価される風潮があったように思う(当然、それはそれでルッキズムである)。

 しかし芸能人でもメイク動画でのビフォア・アフターを行うようになったことからもわかる通り、美の追求のための努力・工夫や加工は恥ずかしくない、という空気が強くなっている。そしてそれと同時に、ルッキズムへの反発もある。