「お金の貯め方」ではなく「お金の使い方」に焦点を当てた本が話題を集めている。『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』だ。この本が掲げる「ゼロで死ね(使い切って死ね)」というメッセージに多くの共感が集まり、「もっと早く出合いたかった」「人生観が変わった」と絶賛の声が相次いでいる。散財しすぎるのがよくないのは周知の事実だ。しかし、貯めすぎもよくない。せっかく貯めたお金を生かせずに人生を終えてしまう可能性がある。これは、RPGゲームでアイテムを最後まで使い切らずに大量に残してクリアしてしまうようなものだ。本当に必要なときに我慢して使わず、結局、最後まで使わない。心当たりのある人は、この本で大きく人生が変わるかもしれない。今回は、本書の核となるメッセージを抜粋して紹介する。

「ゲームでアイテムを大量に残してクリアしてしまう人」は“後悔する人生”を送る可能性が高い。その納得の理由Photo: Adobe Stock

私たちは「喜び」を先送りしすぎている

 死は人を目覚めさせる。死が近づいて初めて、私たちは我に返る。先が長くないと知り、ようやく考え始めるのだ。

 自分は今までいったい何をしていたのだろう? これ以上、先延ばしをせずに、今すぐ、本当にやりたいこと、大切なことをすべきだ、と。

 ふだん私たちは、まるで世界が永遠に続くかのような感覚で生きている。

 もちろん、そう考えるのはある意味で合理的だ。毎日、人生最後の日のような気持ちで生きるのは難しい。そんなふうに考えていたら、誰も仕事なんかしないし、テスト勉強もしない。歯医者にだって行かなくなるだろう。喜びをある程度先送りするのは理にかなっている。長期的に見れば、そのほうが報われるからだ。

 だが残念なことに、私たちは喜びを先送りしすぎている。手遅れになるまでやりたいことを我慢し、ただただ金を節約してしまう。まるで人生が無限に続くかのような気持ちで。

今しかできないことに金を使え

 人は老化には逆らえない。いつかは誰もが死ぬ。だからこそ、限られた時間のなかで最大限に命を燃やす方法を考えなければならない。

 高尚で哲学的な話のように聞こえるかもしれないが、これは「最適化」の問題だ。つまり、人生からどれだけ無駄を減らし、価値あるものを増やすか。

 誰もがこの問題への答えを求められている。置かれた状況によって違いはあるものの、基本は同じだ。死ぬまでに、限られた自分のエネルギーを、何にどれくらい割り当てるべきか、という問いである。

 私は、最低限の生活費しか稼げなかった若い頃から、この問いについて考えてきた。そして長い時間をかけ、次のような人生の指針・原則を築き上げた。

 “今しかできないことに金を使え”

 それこそが、この本で伝えたいことの核だ。

(本稿は、『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』より一部を抜粋・編集して構成しました)