DX(デジタルトランスフォーメーション)は、業務効率化や利益率アップといった企業改革において、無限の可能性を秘めている。一方で、DXでなくなる仕事もあるといわれている。雇用主と求職者の間に立ち、求人広告メディア「バイトル」などを展開するディップの冨田英揮社長兼CEOは、「DX化のなかで労働の再定義が必要だった」と話す。その真意について、冨田社長にインタビューした。(取材・文/ダイヤモンド社 ヴァーティカルメディア編集部 大根田康介、撮影/加藤昌人)
AIの進化で変わってきた
働く人たちの役割
――御社は、人手不足、賃金アップなど労働市場の課題解決に向けてDXに注力されているようですが、その理由について教えてください。
当社は、有期雇用者向けの「バイトル」、派遣向けの「はたらこねっと」、専門職・経験者向けの「バイトルPRO」など、主に求人広告メディアを運営しています。最近、特に力を入れている分野が医療、保育、介護など人手不足感のあるエッセンシャルワーカーです。
今後、人工知能(AI)の進化、DX化によって消える職業が出てくるといわれています。AIに置き換わっていく仕事がある一方で、新しく生まれる仕事もあるでしょう。そこで働く人たちの役割も変わってきます。我々としても、仕事が消えていくことに対してどう向き合うか、企業ビジョンのアップデートが必要でした。
そこで「労働の再定義」をしました。労働とは、「人間が体を使って働くこと」が一般的な定義ですが、当社では「DX化によってコンピュータやロボットも労働力となり得る」と再定義した上で、どんな仕事がAIに置き換えられるのか、はたまた人間にしかできないのか。そこを見極めながら、クライアント企業(雇用主)に良い人材を採用できるような提案をし、「人材サービスとDXサービスを通じて労働市場の諸問題を解決できる企業になる」というビジョンにアップデートしました。