名刺交換写真はイメージです Photo:PIXTA

転職希望の企業で、副業してみよう。副業先の正社員登用で、選考を「顔パス」することもある。実際に働くことで、実務能力や魅力が伝わる。
※本稿は、佐野創太『ゼロストレス転職 99%がやらない「内定の近道」』(PHP研究所)から一部を抜粋・編集したものです。

「お試しで転職する」選択肢が増えている

 先ほど、「結局は働いてみなければ、企業の本性や相性はわからない」という相談者さんの言葉をご部介しました。これは、ある意味で的を射た意見です。

「究極の企業分析は、現場に出て働くこと」と言えるでしょう。

「働いてからでは遅いのですが……」という声が聞こえてきそうですが、本当にそうでしょうか? なにも、正社員としてガッツリ8時間フルで働けと言っているわけではありません。つまり、「ちょっと働いてみる」ことをお勧めしています。

 答えを言ってしまえば、転職希望の企業で「副業(複業)してみる」ということです。お試し期間を作る、見方を変えれば「潜入取材」と言えるでしょう。

「ちょっと働いてみる」は、時代が味方をしてくれています。「地方副業」や社会人インターンも増えました。無償で自分の専門性やスキルを提供するプロボノという働き方もあります。リモートワークで空いた時間を使ったり、趣味の時間を少し抑えたりして取り組む人も増えました。

 転職は、日本からブラジルに移住するような一大決心を迫られます。実際にあなたも、「人間関係がリセットされて一から作り直す苦労」や「仕事の進め方が180度変わる苦労」を引き受けた経験があるかもしれません。

 一方で、副業は隣の駅に引っ越すくらいのイメージです。平日の夜や休日を使って試すことができます。何年もここで働くわけではないため、気楽に人間関係の基盤を作ることができます。仕事の進め方が合わなくても、終わりが見えているので「ここまでは頑張ろう」という意欲が湧いてきます。

 実際に、Webマーケティングを仕事にしている相談者さんは4カ月の副業期間を経て、副業先に正社員として転職しました。

 焦らないですぐに転職しなくて良かったと思います。実際に副業してみると「その会社と自分との相性や仕事のしやすさ」がわかりました。ミスマッチはありません。仲間にも「まだ社員じゃなかったんだ!」と驚かれましたし。会社の良いところも課題も体験していたので、「人社前に知りたかった」なんてがっかりもありません。