他者に依存せず、自立して生きるにはどうすればよいでしょうか。熱海の「ホテルニューアカオ」や天王洲「寺田倉庫」の経営改革を手掛け、テレビ東京「ガイアの夜明け」やNHK「SWITCHインタビュー達人達」で話題となった「伝説の経営者」中野善壽氏。「すべてを捨て、孤独を受け入れることで、“個”として立つことができる」と著書『孤独からはじめよう』と『ぜんぶ、すてれば』で語っています。本記事では『ぜんぶ、すてれば』から、人生を颯爽と楽しむシンプルな考え方を紹介します。
やりたいことが、なくてもいい。
正直であれば、道は開ける。
僕がどうやって社会人としてやってきたか、お話ししましょうか。
小学校から十三年間、大学まで野球大好き人間だった僕は、
中学高校までは勉強ができたほうだったけれど、大学に入ってからは「オール可」。
大学の授業に出た記憶は五回しかないものだから、ひどいもんです。
友人たちが裏でカバーしてくれて、ようやく卒業です。
千葉の大学で野球をやり、「プロになれたらいいな」と思ったこともあったけれど、実力不足の上に怪我をして断念。
だったら就職先を探さないといけないはずなんだけど、ちっとも真剣に考えず、周りの同級生がさっさと内定を決めて遊んでいるのを、ぼーっと眺めていました。
なんで就職活動に身が入らなかったかというと、やりたいことがなかったからです。
当然と言えば、当然ですよね。
まだ社会に出ていないんだから、どんな仕事があるかもわからない。
僕は自分に嘘をつくのは大嫌いだから、
「やりたいことも行きたいところもないなぁ」とだけ考えていました。
でもね、今となっては、正直でよかったと思いますよ。
正直にぼーっとしていたことで、思わぬ道が開けたんですから。
(本原稿は、中野善壽著『ぜんぶ、すてれば』から一部抜粋・改変したものです)