2023年1月における日本の
「粘着価格品目」の価格上昇率(前年比)

改善が見られる物価環境、日銀は新総裁の下で短期金利政策への移行も2023年1月における日本の「粘着価格品目」の価格上昇率(前年比) *米アトランタ連銀の分析を参考に、総務省「消費者物価指数」「小売物価統計調査」を基に推計

 日本銀行の金融政策は、黒田東彦総裁の退任で新たな局面を迎える。イールドカーブ・コントロール(YCC)は海外の金利上昇や国内の物価高もあって制度疲労を起こしている。日銀は長期金利の変動幅の拡大や共通担保資金供給オペの拡充などを実施したものの、市場機能は十分に改善していない。長期金利が上限値を超える事態は直近でも発生している。

 他方、企業や家計の行動にはこのところ変化が見られる。例えば、企業の物価予想と密接に関係する価格改定頻度の低い品目(粘着価格品目)の価格は急上昇している。米アトランタ連銀の分析を参考に推計した日本の粘着価格品目は、2022年11月に約30年ぶりに前年比+2%を超えた。直近の23年1月では同+2.3%だ。