春闘賃上げ率は「2.6%」程度、物価上昇を上回る賃上げは困難Photo:PIXTA

物価上昇率、実勢は4%台半ば
家計負担増、22年度9.6万円、23年度5.1万円

 2022年12月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、以下「コアCPI」)は、前年同期比+4.0%と、81年12月以来41年ぶりの4%台となった。

 これまでの資源高・円安を背景とした輸入コスト高騰の影響が食料品などの小売価格に波及したことが背景だ。

 燃料油価格の激変緩和措置や全国旅行支援で宿泊料が下がり、CPI上昇を抑えていることを考えれば、実勢としての物価上昇率は前年比+4.6%程度まで達していると考えられる。

 今年も2月には、食料品など4000品目以上の値上げラッシュが続く見通しで、資源価格低下や円安是正で上昇率は徐々に鈍化が見込まれるものの、23年前半の物価上昇率は+2~3%台で推移すると考えられる。

 家計の支出負担増は22年度の9.6万円、23年度はさらに5.1万円増える。一方で期待される春闘の賃上げ率は2.6%程度、23年度の全体の名目賃金の伸びも1.3%程度にとどまると試算される。

 実質所得の目減りが続き、個人消費の回復を鈍らせる日本経済停滞の構造は抜け出せそうにない。