物価ピークアウトは慰めにならず
FRB、インフレとの戦いはこれからが本番
米国のインフレは、消費者物価指数が前年同月比9.1%となった6月にピークをつけた可能性が高いが、楽観するのは早い。
連邦準備制度理事会(FRB)のインフレとの戦いは、むしろこれからが本番だ。
今、インフレがピークアウトしつつあるのは、原油価格がやや低下したことに加え、生産・物流のボトルネックが和らいできたことによるものだ。それ自体は歓迎すべき動きだが、賃金上昇率は高止まりしている。
その背景となっている労働市場の状況を考えると、FRBの目標である2%インフレまでは、なおきわめて遠い距離がある。
目標を達成するには、景気後退を覚悟で利上げを続ける必要があり、その場合は失業率がかなり上昇する可能性を排除できない。
FRBは「物価安定」と「雇用の最大化」の折り合いをつけるため、インフレ率が3%程度まで低下すればそれ以上は無理してインフレ抑制をしない、という政策方針に傾く可能性がある。
それはいわば、物価目標の事実上の引き上げだ。