ソフトバンクグループ(SBG)が傘下の英半導体設計大手アームの上場先に米国市場を選んだことで、ロンドン市場の国際競争力の低下を巡り懸念が深まったのは予想通りの展開だ。だが、これはロンドン市場に限った問題ではない。ブルームバーグがソフトバンクによるアーム上場の最新計画を報じた1日、英国に本社機能を置く産業ガス大手リンデもフランクフルト証券取引所での上場廃止を発表した。リンデの時価総額は1750億ドル(約23兆8000億円)に上り、ドイツ株価指数(DAX)構成銘柄で最大だっだ。特に英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)以降、ロンドン、アムステルダム、パリ、フランクフルトなどの欧州の金融ハブは、それぞれライバルとして位置づけられることが多くなった。だが、これらの市場が資本獲得競争を繰り広げれば、米市場により大きな主導権をもたらすだけかもしれない。足元の地政学的状況を踏まえれば難易度の高い提案だが、欧州にとって最善の答えは、国境を越えた相互協力にあるだろう。
米上場に流れる欧州企業 その訳は
欧州市場を見限るソフトバンク傘下のアームや独リンデ
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