ロシアでは、西側の制裁で経済的支柱がむしばまれる中、石油・ガス会社の新市場開拓が急務となっている。そこで利益を上げ続けるために頼りにしているのが、37歳の元モルガン・スタンレー行員、パベル・ソロキン氏だ。エネルギー次官を務めるソロキン氏は、ウラジーミル・プーチン大統領によって権力上層部にスピード登用された、西側に精通した若手テクノクラート幹部の一人。ロンドンで金融を学んだ同氏は、アフリカや中東でさまざまな取引の交渉を手掛けてきた。ロシア石油業界とサウジアラビア率いる石油輸出国機構(OPEC)との連携枠組み「OPECプラス」では、初期の発展に寄与した。同氏の元広報官とロシア国営通信社の元記者によると、昨年ロシアが支配する黒海パイプラインの損傷による影響を誇張する上でも影響力を発揮した。この一件は、西側を警戒させ、石油価格を押し上げた。