廃炉に向けた作業が進む福島第1原発1号機事故で鉄骨がむき出しになった東京電力福島第1原発の1号機。周囲では廃炉に向けた作業が続いていた=2023年1月30日[代表撮影] Photo:JIJI

原発の処理水(トリチウム水)の海洋放出を巡って、政府関係者は「梅雨明け」と明言した。韓国人の93%が「海洋放出が行われた場合、福島県産食品は危険」とする中、政府はどう対応するのか。小島敏文復興副大臣を直撃した――。(イトモス研究所所長 小倉健一)

処理水に含まれるトリチウムが
人体に与える影響は

 福島第一原子力発電所(東京電力)の構内に立ち並ぶ巨大なタンク群。汚染水を処理した後に残るトリチウム(三重水素)などの放射性物質を含んだ「処理水」(トリチウム水)が中に入っている。トリチウム以外の汚染物質(セシウム、ストロンチウムなど)は、発電所構内にある浄化設備で取り除くことができるのだが、トリチウムだけはそれができない。よって、大型タンクに大量の海水と共にためられている。

 運転中の原発で生成されるトリチウムは、事故を起こした原発だけから出てくるものではない。トリチウムは、通常の原子力施設の運転に伴っても発生し、各国の基準に基づいて薄めて海や大気などに放出されてきた。国内の原発では、1リットル当たり6万ベクレルという国内基準以下であることを確認した上で海に放出されていて、福島第一原発では事故の前の2010年に2兆ベクレル余り放出されている。

 そもそも、トリチウムとは何か。日本名「三重水素」と呼称されるように、トリチウムは、水素の仲間だ。自然界でも生成されるので、雨水、海水、それに水道水にも含まれ、人間の体内にも微量のトリチウムが存在している。では、このトリチウム水を体内に摂取するとどのような影響を人体に与えるのだろうか。