東日本大震災による東京電力福島第一原発事故から10年。廃炉に向けた懸案の一つである処理水の処分について、政府は4月13日の関係閣僚会議で海洋放出の方針を決定した。決定後、首相の菅義偉は記者団に決断の理由を語った。
「原発の廃炉を進め、福島の復興を成し遂げるために避けて通れない課題だ」
しかし、処理水の海洋放出に強く反対してきた全国漁業協同組合連合会(全漁連)会長の岸宏は直ちに抗議声明を発表した。
「極めて遺憾であり、到底容認できるものではない。強く抗議する」
岸は4月7日、首相官邸で菅と会談したばかり。そのときも岸は「絶対反対の考えはいささかも変わらない」と菅に直接伝えていた。
これに対し菅は「近日中に判断したい」と答えており、この時点で海洋放出を決断していたことがうかがえる。現に菅は周辺にこう語っている。