新代表の金起ヒョン氏は
文在寅前政権と対立関係
国民の力の新代表に選出された金起ヒョン氏は、2004年に国会議員に初当選した。その後蔚山(ウルサン)市長となったが、市長再選時に金起ヒョン氏の兄弟が建設現場に圧力を加えたとして、蔚山地方警察が突如として市長秘書室などを家宅捜索。その余波で文在寅(ムン・ジェイン)大統領の友人である宋哲鎬(ソン・チョルホ)氏に市長の座を奪われた経験がある。警察はその後、金起ヒョン氏の兄弟を不起訴処分として捜査を終了した。
新代表は裁判官の出身である。宋哲鎬氏を当選させるため、当時の文在寅政権の青瓦台が組織的に介入したことが、金起ヒョン氏を文在寅政権と闘う闘士に変えた。
金起ヒョン氏は韓日議員連盟で安保外交委員長を務めたことがあり、韓日関係の改善にも積極的に取り組むであろう。徴用工解決案を推し進める体制ができたといえよう。
従来の反日闘争に対し
民主党内で異論も
中央日報は9日、“韓国最大野党、反日に追い込む闘争に…党内で「『反日』は季節外れのフレーム」の声も”と題した記事を掲載した。
尹錫悦大統領の徴用工解決案について、民主党は国会前に掲げた横断幕で、(1905年に韓国を日本の保護国にした日韓保護条約を締結した)李完用(イ・ワニョン)の国に対する背信行為になぞらえて批判した。
しかし、首都圏のある議員は「反日感情を過度にあおる文字は望ましくない」として「地元に『李完用横断幕』を全て撤去せよ」と言ったという。民主党指導部に所属する別の議員も「わが地方区には李完用横断幕をかけないようにした」と述べた。こうした動きはほかの議員の間にも広がっている。
7日に李在明氏をはじめとする議員が多数参加した国会階段前で行われた、前述の緊急時局宣言のピケでの「国会は反逆者尹錫悦を弾劾せよ」という文句に対しても「大統領の弾劾は本当に慎重を期すべき言葉だ。やりすぎるとしくじる恐れがある」(首都圏議員)という指摘が出た。
民主党内では「『親日』対『反日』は季節外れのフレーム」という声が上がっているという。2019年に日本が韓国に対して半導体素材の輸出を厳格化したのに対抗し、日本製品の不買、観光拒否など「ノージャパン」運動を展開した時と、韓国人の日本観光が急増している今は状況が違うという理由からである。
徴用工問題の解決案を巡って強硬に反日を主張しているのはいつもの常連であるが、一般の党員、一般の国民を巻き込む動きになっているとは思えない。