「部下の意見を引き出すために、ワイガヤをやろう!」そう考える上司は多い。しかし、うまくいったという話もほとんど聞かないのが現実だ。なぜ、メンバーは自由に意見を言えないのか。その構造的な問題とは。ボストン・コンサルティング・グループやA.T.カーニー、ベイン・アンド・カンパニーで要職を歴任し、現在は立命館大学ビジネススクールで教鞭を執る山本真司氏が、原因と対策を探る。※本記事は山本真司『忙しすぎるリーダーの9割が知らない チームを動かす すごい仕組み』(PHP研究所)から一部を抜粋・編集したものです。
「ワイガヤ」をやりたがるマネジャー。でも、メンバーは……
イノベーションを起こすには、組織のフラット化により、誰もが自由に発言できる場を作ることが重要。いわば「ワイガヤ」です。
「ワイガヤ」は、本田技研工業で行われていたイノベーションを生み出す「ワイワイガヤガヤ」ミーティングとして、一般に広まった言葉です。「参加型経営」「巻き込み」の手段として多用されています。
ただ、それでもなかなか口を開いてくれないメンバーはいるものです。
なぜ、彼らは口を開かないのでしょうか。ここもメンバーの立場に立って考えてみましょう。いろいろな要因があると思います。列挙してみましょう。
(1)皆の前で話すことが恥ずかしい
(2)途中で意見が変わっても発言する機会がない
(3)仲間に警戒感があり気楽にしゃべれない
(4)自分の意見を否定されるのが怖い
(5)やはりマネジャーの目が気になる。悪く評価されるのではないかと気になる
それぞれ、対策を考えます。
(1)、(2)は、ワイガヤをする際に「1チームを何人で構成するか」で解決可能になります。経験上は、リーダー込みで5~6名が最適な人数だと思います。
10名以上出席者がいるような会議でしゃべる時は、私も緊張します。おまけに、議論の途中で自分の意見が変わっても、なかなか発言の機会が与えられません。かといって、2~3名だと少なすぎます。
(3)の「仲間に警戒感があり気楽にしゃべれない」も問題です。初めて会う人や、普段から話をしていない人と一緒にワイガヤをするのは、なかなかきついものがあります。相手がどんな人かわからないので、自分の考えを発言するのがはばかられたりします。
この問題の解決には、最初は発言が少なくても気にせずに、何度も何度も短い時間でのワイガヤを続けることが一番です。こうしてお互いを知り合うことによって、自然に話しやすい環境につながります。