出張費削減、人員整理、さらにリモート勤務の縮小も――。景気の冷え込みを受けて合理化や効率化に取り組む企業の中には、過去の不況でおなじみの戦略に加え、在宅勤務に新たな狙いを定めている会社もある。最近のオフィス回帰の動きには、経営者の管理意識の再燃と、自宅で働く従業員の生産性が看過できないレベルまで低下していることへの懸念が反映されている。米人事ソフトウエア開発・コンサルティング会社バンビーの創業者で最高経営責任者(CEO)のアラン・ジョーンズ氏は、同氏や仕事づきあいのある経営者のほとんどが、リモート勤務の当初の成功は持続不可能だとの結論に達したと話す。会社が倒産に追い込まれかねない世界的な危機に直面し、多くの従業員が普段よりも努力をした。ズームやスラックを介し、既に知っている同僚とうまく連携して仕事をした。確かに家の中にも気が散る要素は多少あったが、全てが閉鎖されていたため、就業時間中にこっそりゴルフに行ったり、レストランでのんびり昼食を取ったりする人はいなかった。