星野リゾートが大卒初任給を11.7%増の24万円へ、地方での採用を強化星野リゾートは23年度末までに、国内外で計67施設の展開を予定している Photo by Nami Shitamoto

2024年に卒業する学生の就職活動本格化に伴い、企業が初任給を引き上げる動きが相次いでいる。コロナ禍で打撃を受けたホテル業界でも、星野リゾートが最大2.5万円の初任給アップを決めた。インバウンド需要の回復前に、人材獲得競争で優位に立つためだ。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)

星野リゾートが大卒初任給を2.5万円アップ
高卒、短大・専門卒と引き上げ率に「学歴格差」

 星野リゾートも賃上げラッシュに参戦――。

 人材獲得競争が激化する中、働き方改革よりもいち早く効果を発揮するのは「給与」だろう。

 春闘の賃上げムードに加え、2024年卒業の大学生の就職活動が本格化したことで、初任給アップを表明する企業が相次いでいる。そして、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けたホテル業界にもこの流れが波及した。

 星野リゾートは大卒初任給を11.7%、金額にして2万5200円引き上げることを決めた。対象は24年度入社の新入社員からで、現在の初任給21万4800円から、24万円へとアップする。

 また、高卒社員の初任給は17万1900円から18万円への4.7%増、短大・専門卒社員は18万8000円から20万円への6.3%増となる。大卒社員との引上げ率に“学歴格差”があるが、それぞれの学歴別賃金相場を鑑みて金額を決めたという。

 入社時期は4月、6月、10月、12月の4回を設け、卒業時期や個人の希望によって選べるようにする。

 現在、星野リゾートが運営する60施設の9割に当たる54施設が三大都市圏外に位置している。初任給アップで、特に地方での人手不足を解消する狙いだ。

 旅行需要の回復に伴い、観光サービス業界では賃上げを巡る明暗が鮮明になりつつある。