検察への攻撃を強める
トランプ支持者と共和党

 襲撃事件の約1カ月前の2020年12月9日、トランプ氏は「1月6日にワシントンで大規模な抗議集会を開く。来てくれ!ワイルドなものになるぞ!」と、支持者に呼びかけた。

 その結果、集会には3000人を超える人々が集まり、彼らの多くは暴徒と化して議事堂に乱入し、その中には「プラウドボーイズ」や「オースキーパーズ」などの極右過激派集団に加え、武装した民兵組織のメンバーも多数含まれていた。

 彼らは「選挙は盗まれた!」「大統領選で大規模な不正があった」というトランプ氏の根拠のないうその主張を信じて、連邦議会の上院本会議場で行われていたバイデン次期大統領の認定手続きを妨害しようとしたのである。

 結局、700人以上が議事堂への不法侵入、警察官への暴力、器物損壊などの罪で逮捕・起訴されたが、このようにトランプ氏が発する言葉は人々の怒りや暴力をかき立てやすい。

 今回も「抗議しろ」という投稿の後、支持者らはすぐに行動を起こし、ニューヨークやワシントンで検察に抗議する集会を行った。また、インターネット上には検察、裁判所などの司法関係者に対する暴力行為を示唆する投稿が増えていることから、ニューヨーク市警はマンハッタンの裁判所の周辺にバリケードを設置するなどして警戒を強めている。

 これに対し、マンハッタン地区検察のブラッグ検事は、「検察や職員を脅したり、ニューヨークにおける法の支配を脅かしたりする試みは容認できない」との声明を発表し、威嚇行為に屈しない姿勢を示した。

 それから共和党議員が検察批判を強めていることも、トランプ支持者の威嚇・暴力行為をエスカレートさせる可能性がある。

 なかにはマージョリー・テイラー・グリーン下院議員(ジョージア州)やマット・ゲーツ下院議員(フロリダ州)などのように、検察への抗議の呼びかけを拒否し、トランプ氏と距離を置く議員も何人かいるが、彼らは少数派であり、党幹部を含む大多数の共和党議員はトランプ氏を強く支持している。

 共和党トップのケビン・マッカーシー下院議長は、「民主党のブラッグ検事が政治的動機から職権を乱用した」と非難し、下院共和党ナンバー3のエリス・ステファニク議員(ニューヨーク州)は「検察の捜査はトランプ前大統領のアメリカファースト運動を支持する有権者の意思を沈黙させ、抑圧しようとする試みだ」と批判した。