3月8日時点で、開示資料にはシリコンバレー銀行(SVB)とシグネチャー銀行のいずれも「十分な資本を保有」と記されている。連邦規制が定める健全性基準で適切なレベルを満たしているとのお墨付きだ。ところが、そのわずか数日後、両行ともに経営破綻に追い込まれた。「われわれが当初1週間に自問したのは『一体これがどのようにして起こったのか』という問いだった」。米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は22日の記者会見でこう述べている。現在および当時の規制当局者や審査官、業界関係者、破綻した両行の事情を知る人物らへの取材からは、経済が変化するスピードと、変化に対する規制当局の軌道修正の遅れが重なり、今回の危機を招いた構図が浮かび上がってきた。監督当局は問題を把握していながら、迅速かつ断固とした行動を取らず、雪だるま式に危機へと発展するのを阻止できなかった。
急転直下の米銀破綻、規制はなぜ見逃したか
債券急落や預金流出のリスク認識甘く、SNSとスマホで悪化に拍車
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