ドン・キホーテ「型破りな売り場」の裏にDXあり！なぜDX失敗あるあるを回避できた？

写真はイメージです　Photo：PIXTA

わざと商品を見つけにくくする「圧縮陳列」など、他者にはマネできない“型破りの売り場”で有名なドン・キホーテ。実は、成功の裏には緻密なDX戦略がありました。同社が回避できたDXの「失敗あるある」とは？（グロービスAI経営教育研究所 所長／グロービス経営大学院 教員　鈴木健一）

ドン・キホーテには
“型破り”を支える仕組みがある

　ドン・キホーテ検定の時間です。47都道府県のうち、ドン・キホーテの店舗がない都道府県はどこでしょうか？

　答えをChatGPTに聞いてみましょう。Bingを使うと…。

　実際、ドン・キホーテのサイトに行って確認するとわかるのですが、正解は確かに高知県です。ChatGPT、さすがです。

　ディスカウントストアは特定の地域に店舗を集中させるローカルドミナント戦略をとるところも多いのですが、2000年以降のディスカウントストア業界の成長をけん引してきた王者ドン・キホーテは全国46都道府県に出店しており、その規模、店舗展開ともに異色の存在です。

　ドン・キホーテ自体は、「顧客最優先主義」を掲げ、「個店主義」「権限委譲」を旗印に、圧縮陳列（わざと商品を見つけにくくすることで、発見する体験価値向上）や工夫を凝らした手書きのPOPなど、型破りでユニークな売り場づくり（ドン・キホーテでは顧客視点で“買い場”と呼んでいます）で知られています。

　ここまで書くと、いかにも人的な「自由演技」の店舗運営だけに頼っているという印象を持ちがちですが、実は、自由演技を裏から支える仕組みが存在します。